詩 其の四

部屋

ここは 小宇宙
無秩序で
壊れた世界

醜悪なものなど消え去ってしまえ!!
不快な物音など消え去ってしまえ!!
ゆるされるのは
はかなげで
ただ美しいものだけ

床の上で
静かに目を閉じる

至上の喜びを与える
この部屋で





僕は 見てしまった
ひどく せつない夢

美しいお嬢さんに恋をした
お嬢さんのお父さんは
僕の先生で・・・

先生は僕にこう言った
「うちの娘とかけおちなんてしたら
許さないから」
美しく 冷たい目で
僕の心を見透かすように

僕の恋は
誰かを傷つける
夢を見て 気づかされた
僕の罪

罪に生きる僕
逃れることはできなくて

それは 僕が選んだ
僕の宿命



・・・これは散文「罪」とリンクしてます


線香花火

夏の終わり
彼女と買った
線香花火

薄闇の中
夏過ぐる静けさの中
彼女とともに
線香花火に
火をともす

彼女といっしょに
火をつけた 最後の一本
「落ちないで」
そう願った 僕

線香花火は 落ちることなく 燃えつきた

燃え残った枝
指輪にして
彼女の薬指にはめる
「忘れないで」と
つぶやきながら

次の日 僕はこの街を去った
この想い 線香花火のように
はかなくとも
その火よ 消えないで




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